私の松田聖子論 各論「Candy」3
こんばんは。所長のRamoonです。
最近ふと、考えたのですが、私大丈夫でしょうか。
危ない人と思われてない?
40年も前のアルバムを真面目に語るオッサン。
うーむ。真面目でもないか(^▽^;)
ま、いっか。とりあえず。
今夜も 行きまーす!
4 Candy
④ モッキンバード
さて、4曲目「モッキンバード」。モッキンバードって何?鳥だよね。木琴じゃないよね。そりゃそうだ。調べよーっと。なになに、「テキーラをベースにしたカクテル・・・」いやいやこれじゃない。えーっと、あ、マネシツグミっていう鳥なんだ。いろいろな鳥の鳴き声や猫の鳴き声の真似とかがとても上手なんですって?へーっ、そうなんだ。昔からアメリカで親しまれている鳥なんだって。知らなんだー。マネシツグミの体調は21~26cmだそうで、まあまあの大きさです。長い足としっぽで結構スマートだね。その声まねをする(mock)ことからモッキンバードという名がついたそうです。木琴ではないんですね。
じゃあ、曲いきましょう。
最初にそのマネシツグミの鳴き声から始まります。とても澄んだ音で、朝に窓を開けてこの鳴き声が聞こえてきたら気分いいでしょうねー。
緑の小枝は 小鳥のコーラス
窓辺のシャム猫
揺り椅子でうとうと
小枝を「こずえ」と読むのね。「梢」(枝の先のこと)らしいんですが、音の響きから同じ意味合いなのでこう当て字にしたのですかね。確かに「こずえ」のほうがオシャレか。
それよりも聖子師匠のこの澄んだ声よ。モッキンバードに負けてません。この曲はそこを狙っての曲じゃないのかな?聖子VSモッキンバード。どっちが澄んだ歌声か!みたいな。
そして相変わらずの松本先生の「つかみはOK」初期場面設定テクニック。あっと言う間にリスナーを世界に引き込んでる。もう、おしゃれな場所に連れてこられたって感じ。窓辺にシャム猫が揺り椅子でうとうとしてるんでしょ。あーこんなオシャレな生活してみてーよ。
もうじきあなたが
レンガの小径に
花束かかえて
あらわれる時間なの
「レンガの小径」
学生の頃、私、中華屋でアルバイトをしてましてね、出前に行くんですよ。で、ある日注文があったところへ出前に行ったんです。そしたら、オシャレな家でね。決して豪華ではないんです。小さな家にまあまあの庭があってちゃんと手入れされているんです。私が「出前にきましたー」とそこにいたおばあさんに声をかけると、「○○さーん、出前来たわよ」とおじいさんを呼びます。「おじいさーん」ではなく、ちゃんと名前で呼んでいることに少し驚ていているところにおじいさんが登場。ジーパン姿でオシャレで若い。いや、確実におじいさん。でも若い感じがするんです。「ご苦労様」そう言って、出前の代金とは別に、チップを渡してくれたんです。そんなことは初めてでしたから面食らって、ただ会釈して受け取り立ち去りました。そこは庭というより、ガーデンでした。あ、なんの話だっけ?
あ、そう、そうこの世界感です。小径ですからね。こんな感じの家に主人公は住んでるんだろーなって。で、花束抱えて彼氏があらわれるんでしょ。何の記念日なんですかね?彼女の誕生日?
サウンド面では「花束」の前のエレピ、「花束」のメロディ、そのあとのギターカッティング。センスありますよね。曲のジャマをせず、隙間を埋め、いや、効果的に必要な音が鳴っている。そんなアレンジです。アイドルの曲って、結構雑に作られているイメージなんです。でも聖子さんのアルバムはそれがない。丁寧に作られているのがよくわかります。
チュン・チュルル・ル
あなたが好きよ
私鳥の言葉が話せるの
主人公の聖子ちゃんがその鳥の鳴きまねするわけですね。チュン・チュルル・ルと。彼を待つ部屋で逢えるのが楽しみでテンション上がりまくりなんですねー。くるくる回ってニコニコしてそう。「好きよ」なんて恥ずかしくて口には出せないので、「チュン・チュルル・ル」と鳥語を話しているわけです。
「モッキンバード」前のエレピのG→GM7→Dm7のコード進行も気持ちいい流れだし、そのあとのギターのキレがまた気持ちいいねー。シャキッとしたコーラスの効いたカッティング。
何もいらないわ 何も望まない
やさしい両手で さえずっていたいだけ
「何もいらない 何も望まない」
ねー、相性ばっちりで永遠に幸せならいいんですけどねー。もうその確率は宝くじぐらいかー。こんな言葉言われたいなー。ほんと。あなたは言ったことありますか?
さて、間奏になるわけですが、ここで木琴?!あながち外れてもいなかったのよ。遊びごころ。木琴ほしいよね、モッキンバードだけに。みたいなオヤジセンス。
しかし、こういったメルヘンの世界感の曲って今は存在しないよね。現代はあまりにもリアリティを求めすぎていて、こんなほわーッとした曲などない。どうしても幼稚に感じてしまうからね。いわゆる日本のかわいい文化なんですよね。欧米はどちらかというとセクシー文化とかヒーロー文化。
このあと日本の音楽シーンも「おニャン子クラブ」とかが出てきて、また一味違うアイドル路線になり、そして「プリンセスプリンセス」「ドリカム」などに変化していきます。
あ、話がそれましたね。
で、2番の歌詞と続くのですが、この曲の歌詞をよく読むと狭ーい場所、短ーい時間の中で完結するストーリーということがわかります。「彼を待つ部屋でテーブルに花を飾って、パイを焼いているときに思ったこと」(2番の歌詞でテーブルに花瓶、パイを焼く匂い、って出てきます)っていう話なんです。それを曲にするんだからねー。さすがです。
あと、聖子さんのヴォーカルはこのアルバムで完成したんじゃないかと思うのです。もう、聖子ワールドが確立してて違和感が全然ないっ。取り立てていうことがないくらい作品の一部になっているんです。
ラストは「私は小鳥」を4回繰り返します。ルンルンのかわいい感じで3回繰り返したあと、4回目は、E♭M9でアンニュイに余韻を残して終わります。これ、たぶん彼氏がやってくる姿が窓から見えたのかなー。と推測するのです。彼の姿に「うっとりしちゃった。」みたいな、ね。SEでチュン・チュンとまた、モッキンバードの鳴き声がしてEND。最後まで世界感を壊さない。丁寧に作られていますよね。
さーて、今回も長々と話してしまいました。
今日はここまで。
お付き合いありがとうございました。
それでは、また。
わたしは小鳥・・・。
チュン、チュン、チュン。